プロジェクトの最後に
無事リリースも終わり少し気が抜けているタイミングかとは思いますが、プロジェクトを振り返り次のプロジェクトをさらに良いものにしていくために最後にもう一踏ん張りしましょう。
サンプルプロジェクトに対して、PMBOKの5つのプロセスに沿った形で解説していきます。今回は(7)終結です。
振り返り
振り返りの目的はプロジェクトで起こった良かったことや課題となったことを洗い出し、全員で次のプロジェクトで同じように良いことが継続される、または同じ問題が起こらないようにするための案を出し、それを実際に進めることです。
今回はKPT法と呼ばれる手法を用いてサンプルを作成しました。振り返りにはKPT法以外にも色々なやり方があるので、興味があれば調べてみると面白いと思います。
全ての課題に対して改善案を出すやり方もありますが、今回はプロジェクトメンバーが特に課題だと感じたProblemのNo. 1, 3, 10, 13についてどのように深掘りし、改善案を出すのかについて例を作成しました。是非参考にしてみてください。
No.1
- 課題
- 要件定義で作成する成果物に時間がかかったため、全体のスケジュールが押した。
- 実際に何が起こったのか?
- 要件定義で作る成果物がどのようなものかわからなかった。
- ステークホルダーの仕様レビューで差し戻しが多く、要件確定に時間がかかった。
- 開発できる部分を先行着手したが、それが原因で一部手戻りが発生した。
- どこに問題があったのか?
- 社内にプロジェクトマネージメントに関するナレッジが少ない。
- 要件確定と手戻りの調整により、進捗管理の難易度が上がってしまい、混乱をきたしてしまった。
- 改善案
- PMが必要なナレッジの蓄積と成果物のテンプレを作成する。
- 仕様レビューのタイミングは全ての要件定義完了後ではなく、レビュー可能な単位が完了するごとにPO承認を取る。
No.3
- 課題
- リリース後の売上見積りがまだまだ甘いと感じた。
- 実際に何が起こったのか?
- リリース後初月の売上を130%と想定したが、実際は110%前後だった。
- 何らかの問題でサービス自体への流入が、例年の90%にとどまっている。
- どこに問題があったのか?
- 今回は過去の売上実績に対して10倍くらいという勘に頼った見積りだった。
- サイトそのものの検索順位が下がっているのが原因ではないか
- 改善案
- 勘ではなく一般的に用いられる見積り手法を研究して採用する必要がある。
No.10
- 課題
- ソース管理において、他チームとのコンフリクトが多発した。
- 実際に何が起こったのか?
- 本番ブランチにマージする際にコンフリクトが多発した。
- 特にCSSのコンフリクトが多かった。
- どこに問題があったのか?
- ブランチ戦略が開発部として曖昧。
- リリース前日にマージしようとして気づいたため、あたふたした。
- 改善案
- ブランチ戦略の運用ルール案を作成し、開発部全員に合意を得て運用まで持っていく。
- リリース計画にコンフリクトチェックを設けて、早めに解消対応をする。
No.13
- 課題
- 仕様書にない仕様変更が多発した。
- 実際に何が起こったのか?
- インタラクションの細かい変更が多かった。
- どこに問題があったのか?
- 仕様書は全てテキストで表現されていたため、認識の齟齬があった。
- ある程度実装が進んで画面で確認できるまで、インタラクションの認識齟齬に誰も気づかなかった。
- 改善案
- 要件が固まった段階で、画面仕様の認識を合わせるためにモックアップを作成する。
- モックアップも完成してからではなく、できたものから順次レビューするする。
- デイリースタンドアップなどを用いて素早くフィードバックできるようにする。
運用フェーズに向けて
最後にプロジェクトにおいて運用開始後に対応すると決めた事項を整理しドキュメント化します。そして運用するチームにその情報を引き継げば無事全て完了となります。
最後に
お疲れ様でした!無事初めてのプロジェクトマネージャーとしてのプロジェクトは全て完了しました。かなり長い記事になってしまいましたが、初めてプロジェクトマネージャーとしてアサインされた方の何かの助けになれば幸いです。
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