プロジェクトマネジメントについてざっくり教えて!
プロジェクトマネジメントとはざっくり表現すると「期間が決められている課題解決の成功確率を最大化するために、どのように計画・実行・監視していけば良いのかを考え、実行すること」と言えるのではないでしょうか。
まずはプロジェクトマネジメントにおけるバイブルを紹介していきたいと思います。
プロジェクトマネジメントにおけるバイブル
プロジェクトマネージャーなら誰しもが知っているバイブルはPMBOK(ビンボック)と呼ばれるプロジェクトマネジメント知識体系ガイドになります。
プロジェクトマネジメントの知識を体系化したものであり、複数の知識エリアから定義されているものである。また、ソフトウェア開発のプロジェクト管理において必要な知識体系である。 PMBOKガイドは、国際的に標準とされているプロジェクトマネジメントの知識体系(ガイド、手法、メソドロジー、ベストプラクティス)であり、建設、製造、ソフトウェア開発などを含む幅広いプロジェクトに適用できるプロジェクトマネジメントの基盤を提供する。
PMBOK -wikipediaに記されている通り、プロジェクトマネジメントのガイドとなるもので、1996年に初版が発行された後現在に至るまで7回の改訂を経て2022年現在第7版となっているいわばプロジェクトマネジメントにおける聖書的なドキュメントと思っていただければいいかと思います。
全体像はこんな感じです。10の知識エリアと5つのプロセスが定義されています。
うん、わからん。
と思うかもしれませんが、まぁそうですよね。
でもご安心ください。PMBOKは知識体系とされており全てを熟知した上でプロジェクトを推進するというよりは、プロジェクトを進める上で必要な道具だと考えてください。会社の文化やプロジェクトの規模、メンバーの経験値などを踏まえた上で上手に活用することが重要なのです。
イメージしてもらいやすいように、サンプルプロジェクを用意しました。 このプロジェクをあなたが任されたと思って読み進めていただければ、より具体的なイメージが湧いてくるのではないかと思います。また全体の流れを図にしました。この図に沿って話を進めていきたいと思います。
サンプルプロジェクトに対して、PMBOKの5つのプロセスに沿った形で解説していきます。今回は(1)事前準備です。
PMとしての考え方を整理する
「突然プロジェクトマネージャーよろしくね!」と言われたらあなたならどうしますか??よくあるパターンとしては「プロジェクト 進め方」「プロジェクトマネージャーとは」「プロジェクト 本 おすすめ」といったワードで検索するのではないでしょうか?
検索結果としては何やら小難しそうな記事や動画がヒットしてうわっ!となるかもしれませんが、大丈夫です。初めてのプロジェクトマネージメントという連載形式で、具体例を挙げつつ解説してきますのでご安心ください。
初めてプロジェクトマネージャーになったらまず何を考えるべきなんだろう?
真っ先にやるべきことは具体的な手法を調べることでもなければ、プロジェクトマネジメントに関する書籍を読むことでもありません。「プロジェクトメンバーと信頼関係をどのように構築・維持していくか?」についてあなたなりの考えを整理することが重要です。
信頼関係を構築するためには何が必要なんだろう?
辞書に定義されている信頼関係とは以下のようになっています。
相互に相手のことを信頼し合っている関係、信頼することができるような関係、などという意味の表現。
意味は分けるけど、どうすればいいのかがさっぱりわからない感じですね。個人的に信頼関係を構築していく中で最も重視しているスキルがこの3つです。
- 傾聴スキル
- ステークホルダーの話をしっかり聞いて受け止めるスキル
- ステークホルダーとの話のなかで本質的な問題点を見つけようとするスキル
- 調整スキル
- ステークホルダーが納得感を持って目標に向かえる状況を作り出すスキル
- コミットメントスキル
- ステークホルダーからこの人ならやりきってくれるという期待を醸成するスキル
この3つのスキルを最大限活用して、ステークホルダーとの信頼関係を構築・維持することが重要だと思います。
なぜプロジェクトの進め方の前に信頼関係なんだろう?
個人的にプロジェクトが上手く進まない根本的な原因は、人間誰しもが感じる不安という気持ちにあると考えています。そして不安になった人が取る行動はある意味単純で、必ず「不安な気持ちを解消する」ためのアクションを取ります。ではどのようなことを感じた時に人は不安になって、どのように解消しようとするのでしょうか?例を挙げてみたいと思います。
感じる人 | 起こっていること | 感じる不安 | 解消するためのアクション |
---|---|---|---|
PO | プロジェクトマネージャーからの定期的な報告がない | 今の状況がわからない | ・事細かな報告やレポートを指示する ・マイクロマネジメントをしようとする ・プロジェクトマネージャーを既に信頼関係がある人と入れ替えようとする |
プロジェクトメンバー | プロジェクトマネージャーと会話がない | 嫌われたのではないか | ・プロジェクトに対する不平不満を吹聴する ・ネガティブな発言をする |
プロジェクトメンバー | 意見が取り上げてもらえない | 自分が大切にされていない | ・プロジェクトに対するモチベーションを失う |
プロジェクトメンバー | 批判された | 無知、無能と思われたのではないか | ・自分から意見を言わなくなる ・受け身になる ・積極的なアクションを起こさなくなる ・正確な情報を報告しなくなる ・批判されない報告のみをするようになる |
例にもあるように、不安な気持ちを解消するためのアクションはプロジェクトに対してプラスに働くことはありません。ステークホルダーがこのようなアクションを取り始めると炎上待った無し!と言えるでしょう。
こうならないために3つのスキルを活用してステークホルダーと信頼関係を構築し、維持することが重要なのです。
プロジェクトマネージャー経験者はどうやってるんだろう?
どのようにしてステークホルダーと信頼関係を構築するかはプロジェクトマネージャーによって様々です。私がよく使うやり方を紹介します。このやり方を基本として会社のカルチャーやプロジェクトメンバーの人となりを踏まえ、アレンジしていくと良いのではないでしょうか。
- 毎週定例のミーティング(30分〜60分)
- 今週やったこと、次週やることを共有する。
- 課題をクリアするための課題、ステークホルダーに助けて欲しいことを共有する。
- ステークホルダーからの意見を集めてプロジェクトに反映させる。
- 月1回の振り返り(60分程度)
- 振り返りのやり方はいろいろあるので、プロジェクトマネージャーがファシリテーションしやすいやり方を選ぶ。
- 私はKPT法を使って、プロジェクトを進める上での不安や困ってることを共有する。成果が出たことや嬉しかったこと、感謝などを発表することを目的として実施してます。
- 主要なステークホルダーは必ず出席してもらう
- 実施の目的などを共有した上で、積極的に出席してもらえるように心がけています。
最後に
いかがだったでしょうか。人が集まって同じ目的に向かい活動するという状況において信頼関係は非常に重要です。ですが、信頼関係を構築する正しいやり方というのは存在しません。なのでまずは組織文化がどうなっているのか、プロジェクトに集まったメンバーはどのような人か、自分が持っている考えは何かを整理しておくと良いと思います。
それをベースに信頼関係を構築し、それを土台としてプロジェクトを進めていくことになります。信頼関係を上手く構築できないままプロジェクトを進めるということは砂の上に楼閣(立派な建物)を建てることと同じなんじゃないかと思います。
今回は事前準備について考えてみました。次回は5つのプロセスの立ち上げについて詳しくみていきたいと思います。
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