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PMからみたビジネス視点とは

この記事は

プロジェクトマネージャーとしてビジネス視点をスキルと捉えた場合、どのように考えると理解できるのかについて提案を投げ込んでみたいと思います。

そもそもビジネス視点って何なの?

【視点】してん

物を見るために向けた視線がそそがれる点。観点。見かた。

つまり、ビジネス視点とはビジネスの見かたとも言えます。

ビジネスは「経営資源(人・モノ・金・情報)を効率よく配置・配分し、目的・目標を達成し、営利を獲得し続けること」と定義できると思います。ではあなたの会社でこの定義に関する全ての情報を俯瞰的に把握し、意思決定している人は誰でしょう?そうです経営者つまり社長です。

日本における従業員数10名以上の法人数はおよそ42万社と言われています。単純に考えると42万人の経営者がいることになります。日本の労働人口は約6,800万人とされており、大まかに労働人口の約0.62%が経営者と言えます。

以上のことからビジネス視点はある意味、労働人口の1%未満の人たちが仕事として必須となるスキルと言えます。

経営者が見ている景色を大多数の一般社員が見ることは不可能に近い

ビジネスパーソンの方ならば誰しも一度は「経営視点が重要!」とか「視座を高く持て!」とか「多角的に物事を見ろ!」といったアドバイスを上司から受けたことがあるかと思います。かく言う私も28歳で初めて会社員になった時に当時の部長から言われました。ですが、14年の歳月が経った今も完璧だとは思っていません。理由は簡単で人間は基本的に知らないものを想像することが非常に困難だからです。

経営者ならばビジネスの目的・目標、資金調達と配分、人材の調達や評価といった経営的な課題に対し、日々意思決定を迫られることが日常です。そのため自らが推進しているビジネスについて多くのことを知っています。

ですが、大多数のビジネスパーソンは違います。短期的な目標の達成や日々のタスクの消化といった目の前の業務をこなすことが求められます。そのため目の前の業務については具体的に知っていますが、自らの担当範囲以外はほぼ知らないということもよくある話だと思います。

経営者と経営者以外は果たすべき役割が異なるため、把握している情報も異なります。よって一般社員という立場からビジネス視点を持つということはそう簡単な話ではないと言えるのではないでしょうか。

とは言え、レアスキルならなんとか身につけて自分の価値を上げたいと思うのが人の常だと思います。ここではプロジェクトマネージャー、またはそれに類する役割を担っている方向けにビジネス視点を身につけるための1つの方向性を提示してみたいと思います。

ビジネス視点ってどうやって身に付けるの?

ビジネス視点を身につけるための方法ですが、これまたなかなかの難題です。書籍、ブログ、YouTube、有名経営者のメルマガやオンラインサロンなど非常に多くの方法があります。ですが、この方法ならば確実!という方法はありません。理由は人はそれぞれ持っている思考の癖が異なるからです。そのため世の中に提案されている多種多様な方法の中から自分に合ったものを見つける必要があります。

ここでは数ある方法の1つとして、ビジネスを構造化するというやり方でビジネス視点を身につける方法を紹介します。手順は至って単純で以下の3ステップです。具体例を交えて見ていきましょう。

1. 具体的なビジネスを要素に分解する

例として一般的なモール型ECサービスを要素に分解してみましょう。要素に分解するとこんな感じになります。

  • 緑色はECサービスを提供する側が運営するシステムです。
  • 赤色はECサービスに出店する側(店舗管理者など)が日々作業をするためのシステムです。
  • 青色は外部のサービスやシステム外の業務などを表しています。
  • キャッシュポイント(売上となるポイント)は商品の購入です。

図のように3つの要素に分解できそうです。

2. ビジネスの要素を抽象化して構造を理解する

上の図から抽象化するとこんな感じになります。

  1. 商品を並べて販売する
  2. 商品を管理する
  3. 会員を管理する

よってあなたがこのECサービスを提供する側の経営者ならば「魅力的な商品を並べて、多くのユーザーを呼び込み、商品を購入してもらう」ために自らが持っている経営資源を配分することになります。

3. 再利用する

ではこの構造をニュースアプリに当てはめて考えてみましょう。かなり強引ですが、こんな感じになります。

  • 緑色はニュースアプリを提供する側が運営するシステムです。
  • 赤色はニュースを書く側(ライターなど)が日々入稿するためのシステムです。
  • 青色は外部のサービスやシステム外の業務などを表しています。
  • キャッシュポイント(売上となるポイント)はPVです。

要素はほぼ同じですが、モール型ECサービスより「会員を管理する」要素の規模が増大していることが分かります。あなたがこのニュースアプリ運営の経営者ならば「魅力的な記事を並べて、多くのユーザーを呼び込み、PVを増やす」ために自らが持っている経営資源を配分することになります。

ビジネス視点を持つ利点は?

ビジネスを要素に分解して構造を理解することは、どんな利点があるのでしょうか?個人的に次の2つが主な利点だと思っています。

1. 次の打ち手の先読み

構造を理解することにより、経営者やクライアントが次に何をやりたいかを先読みすることができます。事業会社、開発会社それぞれのPMに下記のような利点があると思います。

事業会社におけるPMの場合

次に来るプロジェクトが先読みできると、今やっているプロジェクトが別の角度から理解できるようになります。自社や競合他社のビジネスを構造的に理解することによってプロジェクトマネージャーとして判断が必要な時に、先を見据えた判断ができるようになるのではないかと思います。

開発会社におけるPMの場合

ビジネス視点を用いてクライアントのビジネスを構造的に理解し、要求に対してプラスアルファの提案や、効果的な代替案などを出すことができるようになります。これらのアクションを通してクライアントからの信頼を得ることにより、継続的なビジネス関係を構築することができると思います。

2. アイデアの源泉

プロジェクトの企画や提案などを行う場合、アイデアの源泉にすることができます。「アイデアは生み出す(ゼロから考える)ものではなく、持ってくる(似たような構造を持ってきて変換する)ものである」と言われます。同じような構造を持っているビジネスを持ってきて、手元のビジネスとの差分を考えると案外すんなりとアイデアとしてまとまることがあります。

最後に

いかがだったでしょうか。この手法が銀の弾丸だとは思いませんが、ある程度応用が効く手法だと思います。自分にあった方法でビジネスを理解してPMスキルの向上に役立てていただければ幸いです。

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